アンリアレイジにとって16回目となる、2022-23年秋冬パリコレクションのテーマは『PLANET』。 コレクションは、JAXA相模原キャンパスにある「宇宙探査実験棟」を会場に行われました。
アンリアレイジはJAXAから、宇宙探査活動に係る映像データの協力を受け、宇宙で人類が活躍する未来のファッション表現を探求するコレクションを発表しました。
会場施設は珪砂を敷き詰めて月や惑星の表面地形を模した実験場を有し、宇宙探査にかかわる研究開発の拠点として、探査機等の実験に利用されている実験施設です。JAXAでは、国際的に検討が進む月周回有人拠点(Gateway)への参画と、それを生かした月面での持続的な探査活動に向けた研究開発を進めており、近い将来、日本人が月面に降り立つことも検討されています。
ショーは、月面に降り立つ一歩から始まります。1969年の月面着陸をオマージュし、ユナイテッドヌードとのコラボレーションスニーカーには、ニール・アームストロングが実際に月面で着用していたシューズの底面を再現しました。
LOOK01-14には、NASAが開発したマイナス196℃をも断熱する宇宙服用の新素材「エアロゲル」を採用。LOOK8-9には、エアコンを使わず人体を効率よく冷却し、地球温暖化防止を目的とした空調服®︎(※)独自の空流システムを用いた「株式会社空調服」のファンを搭載。LOOK15-18は、織物の表面が柄出し発光する「発光ジャカード織物“LightWeave®”」を開発した福井の大喜株式会社と協業。特殊側面発光糸をジャカード織りにカラミ織りを融合させた独自技術で織り込むことで、まるで液晶ディスプレイのように自在に模様や色を変えられる柔軟なテキスタイルをつくりました。光源のプログラムはライゾマティクスが担当。遠隔で服の柄や色をコントロールし、多種多様な表情を服の上で生み出しました。ラストルックには「THE EARTH WAS BLUE」の文字がでています。
LOOK19からは月から地球へショー会場が変わります。モデルたちが月の光に照らされた砂浜を歩きます。その時に身に纏っているのは月面で着ていた服と同じものですが、地上では重力の影響を受けてボリューミーだった膨らみが萎み、そのシルエットは一変します。キルティングドレスやコートの肩やジャンプスーツのウェストラインは落下し、ドレープやギャザーが服に生まれます。宇宙服が地球服に変わり、コレクションはフィナーレを迎えます。
月面の音楽には、シンセサイザーの先駆者で作曲家として世界的に知られる冨田勲(ISAO TOMITA)氏の『月の光』を用い、地上の音楽は第18回ショパン国際ピアノコンクールで日本では半世紀ぶりの第2位を受賞した反田恭平氏の『月の光』を用いました。
デザイナー森永邦彦はコレクションを通し、宇宙服と地球服の境界を曖昧にし、今は非日常である「月面での日常」が来る日に、想いを馳せ、誰もが月と地球を気軽に往来できる世界を想像します。国や人種を超えた、地球人という感覚が日常になる日を。
星と星を繋ぐ服に、平和への祈りを込めて。
“Here, men from the planet Earth
first set foot upon the Moon.
We came in peace for all mankind.”
- Neil Armstrong
惑星地球より来たる人類、ここ月面に降り立つ。我ら人類の平和のために来たれり
- ニール・アームストロング
※「空調服」は、㈱セフト研究所・㈱空調服の特許及び技術を使用しています。
※「空調服」は、㈱セフト研究所・㈱空調服のファン付きウェア、その附属品、及びこれらを示すブランドです。
※「空調服」は、㈱セフト研究所・㈱空調服の登録商標です。
【コレクション詳細】
ANREALAGE
AUTUMN- WINTER
2022-23 COLLECTION
“PLANET”
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