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HARUNOBUMURATA 2026A/W Collection

  • 2 日前
  • 読了時間: 3分

HARUNOBUMURATAが2026年秋冬コレクションを発表しました。

タイトルは"装飾と犯罪"

建築家アドルフルースの思想、” 装飾と犯罪” を出発点に、装飾性を削ぎ落とした最小限の要素によって衣服を形作ることで、人と社会のあいだに立ち現れる様式のひとつのあり方を提示しました。



素材、線、量感、余白。簡潔であるが禁欲的なものではなく、過剰なものから解放されようとする現代の女性、あるいは男性に向けて、意味づけを排した建築のように組み上げられた佇まいと削ぎ落とされた構成のなかで都市のなかに立つ景色となるように。最小単位としてのエレガンスを示します。


基盤となるのは、HARUNOBUMURATA を象徴するウールギャバジン。愛知で織り上げられた超高密度素材は、英国由来のクラシックな規格を踏襲しながら、紙のような張りを与える特殊加工を施しています。この素材のために開発された特殊な樹脂を繊維内部まで浸透させ、熱で硬化させる日本独自の技術により、端正な綾目と半永続的な張りを実現しました。静かな構築性としなやかな反発。その緊張感が、コレクションの骨格を支えます。


対比として採用されたのは、ペルー産原料を用い尾州で織り上げたスーリーアルパカ混シャギー素材。細く長い毛足としっとりとした光沢が、抑制されたフォルムに柔らかな奥行きを与えます。豊かな温もりと軽やかさが、削ぎ落とされた構造に体温を宿し、包み込むようなシルエットのなかで着用者の内面を静かに表層へと導きます。


さらに、オーストラリア産の原料によるウールダブルフェイス素材。二層構造特有の膨らみと反発を備えたこの素材を、丁寧な手仕事で仕立てたコートは、纏った瞬間にその存在を忘れるほどの軽やかさを持ちます。物質的な緊張を保ちながら、都市間を渡る風のように流れる質感。硬質と柔和、その対比が今季の構成を形作ります。


これらの素材で構成される今季のシルエットは、誇張を排し、身体の動きと存在が自然に収まる構造として再設計されました。コートやセットアップは建築的な直線で構築されながらも、時にはジャージー素材のような柔らかな質感を内側に潜ませ、着用者の歩行や呼吸を静かに整えるように。存在を誇示するのではなく、輪郭を明晰にするように日常へと溶け込みます。


色彩は、黒、チャコール、深いブラウンを基調に、手染めのブルーやグリーンのグラデーションをわずかに差し込むことで、過剰な主張を避けながら、時間とともに変化する壁面のような奥行きを生み出す。それは装飾の代わりに、光と影、そして時間そのものを纏う試みです。


削ぎ落とされた構造のなかで、着用者の存在によって初めて完成する衣服。他者との関係性の中で自身の存在を見つけるような現代の枠組みの中に立ちながらも、自らの輪郭を保ち続けるための静かな意思に形が与えられました。

装飾の先にある空白へ視線を向けながら、HARUNOBUMURATAは、エレガンスの本質を改めて問い直します。



 
 
 

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