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KIDILL 2026年秋冬コレクションをパリで発表

更新日:11 時間前

KIDILL 2026年秋冬コレクションがパリで発表されました。

タイトルは「HEAVEN」



デザイナー末安弘明がHEAVENで示すのは、従来の理想郷の意味ではありません。

「それはタブーや抑圧からの解放であり、社会通念に対するシニカルな問いかけの象徴。子供と大人の間で相反するものが一体となるメタファーとして機能しています」と語ります。


KIDILLの中核はパンクにあり、末安の眼差しは常に“矛盾”に向けられてきました。偶然と必然、混沌と静寂、大胆と繊細、カワイイとハードコア。デザインを介して対立する通念を包摂しそれぞれの特質を見せる。末安にとってファッションとは、混沌の中で心を癒し、秩序を取り戻すための手段なのだと言います。ともすれば失われる、少年性と少女性に潜むピュアネス、葛藤に近いナイーブさを抱えながら、愛するものだけをひたすらに羨望していく。計算され尽くした美しさではなく、生々しい矛盾を抱えたままの姿こそKIDILLのユートピアには欠かせません。


2026年秋冬コレクションの中ではことさら、デザイナーのみる矛盾が一つのアイテムに昇華されていきます。例えば、スモーキーであわいカラーパレットにはブラックシリコンラバーの汚し加工というハードなテクスチャーを衝突させ、ALPHA INDUSTRIESとコラボレーションしたMA-1では、柔らかなチュールが武骨なミリタリーウェアを包み女性性と攻撃性が融解します。東京のアンダーグラウンドシーンに30年以上身を置くアーティスト、トレヴァー・ブラウンのアートワークは無尽に配され、身体が隠れるほど大きな悪魔と天使の羽、鋭いカーブを描くモッズコート、少女のグラフィックを横断するチュール。これらが対極の要素の共存を具現します。


カットアウトされた服地、キルトスカート、伝統的なタータンチェック、ベルトで縛るボンテージ、セーフティピンとメタルの装飾、パイピングが走るディテール。ジャカード織からリフレクター素材までファブリックは拡がりをみせながら、UMBROとのコラボレーションにおいて切り替え40カ所以上にアジャスターが組み込まれるなど、末安が直観するパン

クのシンボルが過剰なほど乱打されていきました。他方、ビスポークテーラリングの技術を持つチームとの継続的な協業により、仕立ての知見と反骨の精神が共生していきます。


デザイナーが体感したロンドンでの日常的光景、アンダーグラウンドの混沌、1990年代初頭の東京、サイバーパンクの残像。それら個人の過去から結晶化したクリエイティビティが現代の新しい精神と交錯するとき、反目しうるものの邂逅が生まれます。


2026年秋冬は、KIDILLがこれまで築いてきた中核を鮮明にしながら、自由闊達な未来として表現されました。意図的に洗練から離れ、今もなお、未完成の力を愛すデザイナーにとって、破壊的な結末、非現実的な幻想こそが、ある種の天国なのだと示されたコレクションです。



 
 
 

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