Maison MIHARA YASUHIRO 2025年秋冬コレクション
- mashroom
- 1月27日
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Maison MIHARA YASUHIROが2025年秋冬コレクションをパリで発表した。
今コレクションにおいて三原康裕が取り組んだのは、パラドックス(逆説)の手法によってブランドが約30 年間に渡って積み上げてきたアイデンティティのコアを再提示することだった。
スピーディーな時代の潮流に相反するスローな概念として掲げた“ t a i l o r i n g ”
ーいわゆるスーツのテーラリングにとどまらない広義の“仕立て" を示す、いまやある種の埃臭ささえ漂う語としてのー に関する再考を起点として、造形的な矛盾を感じさせる形態の洋服を展開した。
コレクションを通して多用された、大小の異なる2着のブルゾンが上下逆さまにドッキングされたあべこべなパターンは、仕立てという行為の本質を逆説的に浮かび上がらせ、パンツのパターンが袖へと転化されたトップス群には脱構築の古典的な手法としてのトランスフォームが応用されている。
本コレクションで試みられたのはあくまでも“ t a i l o r i n g " の見直しであって“ n e w t a i l o r i n g " の発明ではない。
新しい何かを生み出すという幻想の呪縛から逃れ、パターンを引き布を断ち、縫い合わせるという根本的な行為の再検証によってブランドの輪郭を明瞭に描き出し、風化に耐えうる強度を付与するという逆説的なプロセスである。
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